「収支計画って、何をどうやって書けばいいの?」「Excelで数字を並べてみたけど、これで合っているのか不安」——整体院の開業を考える方の多くが、収支計画の作成に頭を悩ませています。

収支計画は、あなたの整体院が経営として成り立つかどうかを事前に検証するためのツールです。融資の審査で提出が求められるだけでなく、開業後の経営判断の指針にもなります。

この記事では、理学療法士・中村智明の監修のもと、整体院開業の収支計画の立て方を、売上予測の方法から経費の洗い出し、キャッシュフロー管理まで、ステップごとに解説します。

なぜ収支計画が重要か——「なんとかなる」では経営できない

「技術さえあれば、お客さんは来てくれるだろう」——こう考えて開業する方が少なくありませんが、理学療法士として多くの開業者を見てきた経験から断言します。収支計画なしに開業して成功するケースは、ほぼありません。

収支計画が重要な理由は、大きく3つあります。

理学療法士の視点から一言。収支計画は「楽観」と「悲観」の2パターンを用意しておくことが重要です。楽観シナリオで夢を描き、悲観シナリオで現実を見る——この両輪があってこそ、健全な経営判断ができます。

売上予測の立て方——希望ではなく「根拠」で算出する

収支計画の出発点は売上予測です。「月商50万円を目指す」と書くのは簡単ですが、問題はその数字に根拠があるかどうかです。

売上の基本公式

整体院の売上は、以下のシンプルな公式で算出します。

整体院の売上公式

この公式に、リアリティのある数字を当てはめていきます。

施術単価の設定

出店予定エリアの競合院の料金を調査し、相場の中〜上位に設定するのが基本です。安すぎると利益が出ず、高すぎると集客が難しくなります。一般的な整体院の施術単価は5,000〜8,000円の範囲です。

1日あたりの施術人数

開業直後は1日1〜2人からスタートし、3ヶ月目で3人、6ヶ月目で4〜5人を目標にするのが現実的です。最初から「1日5人」を前提にした計画は楽観的すぎます。

月間の売上推移(12ヶ月分)

売上は初月から安定するわけではありません。以下のような段階的な推移で計画を立てましょう。

経費項目の洗い出し——漏れなく把握することが成功の鍵

収支計画の精度は、経費をどれだけ正確に見積もれるかで決まります。「想定外の出費」を減らすために、経費項目を網羅的に洗い出しましょう。

月間収支計画テンプレート 項目 月額(目安) 備考 【売上】 施術売上(単価6,000円 x 人数) 450,000円 3人/日 x 25日 物販売上 30,000円 サプリ等 【固定費】 家賃 100,000円 売上の15%以内 水道光熱費 15,000円 通信費・システム費 8,000円 融資返済 40,000円 300万/7年 広告宣伝費 20,000円 消耗品・その他 17,000円 月間営業利益 280,000円 売上48万-経費20万 ※ 上記は安定期(開業6ヶ月目以降)の目安です

固定費と変動費を分けて管理する

経費は固定費(売上に関係なく発生する費用)変動費(売上に連動して増減する費用)に分けて管理しましょう。整体院の場合、経費のほとんどが固定費です。だからこそ、固定費を低く抑えることが経営の安定につながります。

見落としやすい経費項目

収支計画でよく見落とされる経費項目として、以下があります。

キャッシュフロー管理のポイント——「利益が出ているのにお金がない」を防ぐ

収支計画で利益が出る計算になっても、実際の手元資金が足りなくなることがあります。これが「黒字倒産」の仕組みです。キャッシュフロー(現金の流れ)を管理することで、この事態を防げます。

入金と支払いのタイミングを把握する

整体院の場合、施術代金は当日現金またはカード決済で入金されます。カード決済の場合、実際の入金は1〜2ヶ月後になることがあります。一方、家賃や光熱費は毎月決まった日に支払いが発生します。

このタイムラグを把握しておかないと、「売上は上がっているのに口座残高が足りない」という事態に陥ります。

開業12ヶ月のキャッシュフロー推移 200万 100万 0 -100万 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 資金ショートの危険ゾーン 最も厳しい時期 収支トントン

運転資金の確保が生命線

このグラフが示す通り、開業後2〜3ヶ月目が最も資金が厳しい時期です。この谷を乗り越えるために、運転資金(最低3ヶ月分の固定費+生活費)を事前に確保しておくことが不可欠です。

Darieのフランチャイズ加盟では、この資金計画のシミュレーションを加盟前に一緒に行います。「いつ、いくら必要か」を事前に可視化することで、資金ショートのリスクを最小化します。

よくある収支計画の失敗例——同じ轍を踏まないために

理学療法士として数多くの開業者と関わってきた中で、収支計画によくある失敗パターンをご紹介します。

失敗1:売上予測が楽観的すぎる

「開業初月から月商50万円」は、ほぼ達成不可能です。最初の3ヶ月は売上が計画の50〜70%程度に留まることを前提にしましょう。

失敗2:自分の報酬を計算に入れていない

事業の利益=自分の手取りではありません。国民健康保険・年金・所得税を差し引くと、利益の60〜70%程度が実際の手取りになります。

失敗3:季節変動を考慮していない

整体院にも繁閑の波があります。一般的に年末年始・GW・お盆前後は来院数が減少する傾向があります。年間を通じて均一な売上を前提にすると、閑散期に資金が足りなくなります。

失敗4:融資の返済を経費に入れていない

融資を受けた場合、毎月の返済額を固定費として計上しなければなりません。「利益から返済すればいい」と後回しにすると、返済のための資金が確保できなくなります。

収支計画で最も大切なのは、「完璧な計画を作ること」ではなく「最悪のシナリオでも生き残れる計画を作ること」です。楽観的な計画は精神安定には良いですが、経営の安全網にはなりません。

まとめ:収支計画は、あなたの整体院を守る「盾」になる

最後に、この記事のポイントを整理します。

収支計画は、あなたの整体院を守る「盾」です。この盾があるからこそ、安心して開業という「攻め」に出られるのです。具体的な計画の作り方を知りたい方は、無料個別相談でお気軽にご相談ください。

中村智明

中村智明

理学療法士 / 合同会社DAGOE 代表

理学療法士として臨床経験を積んだ後、「根拠ある技術で人々の体を変える」をミッションに合同会社DAGOEを設立。姿勢改善Darie整体院のメソッド開発・FC展開を手掛ける。解剖学と運動機能の知見に基づいた施術体系で、再現性の高い整体技術を全国に広げている。